データ活用人材として活躍する"ビジネス力"をトレーニングするには(1)

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みなさん、こんにちは。富士通ラーニングメディアの拝野(はいの)です。
データサイエンス関連や機械学習技術の研修を担当しています。現在は、デジタルトランスフォーメーション(以降、DX)関連の人材育成の企画や開発等にも携わっています。

DXの主要スキルとして、データサイエンスを中心としたデータ活用力が依然として注目を集めています。
データ活用人材(データサイエンティスト)として持つべき3つのスキルの一つ「ビジネス力」を鍛える研修のようすを受講者のインタビューを交えて、計3回のコラムでご紹介します。

データ活用人材(データサイエンティスト)が再注目の背景

スマホネイティブな世代であるZ世代の台頭やCOVID-19の流行により、DXの必要性が認知され、事業推進におけるデジタル導入の優先度が急上昇しています。そして、デジタル技術の導入で得られる精密なデータを眠らせず、事業に活用していく戦略が求められています。DXが台頭するこの時代では、データ活用(データサイエンス)は不可欠なスキルとして依然として注目を集めています。

たとえば、 自動車業界では、TESLA社の台頭やAppleの業界参入の可能性もあり、車体の買い切りに近いビジネスモデルから、デジタル及びデータによるユーザー体験をデザインする方法を模索しています。地方自治体では、LINE等を活用してゴミ収集や要望収集などを行い始めており、住民の豊かな暮らしをサポートしながら、データを使って仕組みを最適化する活動が推進されています。
このように、多様な業界においてデータ活用プロジェクトが推進され、ウェルビーイングな社会の創造に向かっています。こうした現状に伴い、データ活用人材育成への課題やニーズも急増しています。

当社もオープン研修・個社研修を問わず、データ活用関連のトレーニングの受講者数が大幅に増えています。
※2020年度受講者数ランキングTOP20では、データサイエンス関連2コースが初ランクイン、個別研修ではSIer系企業のみならず、メーカー系、銀行系、食品系、さらには地方自治体からの問合せが特に増加しています。

データサイエンティストが持つべき3つのスキル

では、実際にビジネスでデータ活用人材(データサイエンティスト)として活躍するには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
データサイエンティストが持つべきスキルとして、「ビジネス力」、「データサイエンス力」、「データエンジニアリング力」の3つがあげられます。


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一般社団法人データサイエンティスト協会、独立行政法人情報処理推進機構
「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説」から引用

「データサイエンス力」や「データエンジニアリング力」の醸成は、ベースとなる知識やスキルの習得が必要となる領域で、研修プログラムや書籍等での学習でアプローチしやすい部分です。
一方、ビジネス理解を前提にデータの加工や解釈を行う「ビジネス力」は、教室スタイルのトレーニングだけではアプローチしにくい領域です。

データ活用は今まさに活性化している取り組みであり、各企業には該当のスキルセットや思考を身に着けた人材は少ない現状です。そのため、OJTで「ビジネス力」をトレーニングすることは難しく、研修を中心としたOFF-JTに求められる期待は大きいものがありました。
そこで、新たな学び方による「ビジネス力」を鍛えるトレーニングを企画しました。

補足=========================
私、拝野は大学時代に教育学を専攻しており、小中高向け、あるいは大学の現状の教育の課題等についても学んでおりました。データサイエンティスト育成におけるビジネス力育成の課題は、学校教育の課題の構造とよく似ています。教室スタイルの教育は画一的な知識の習得には大きな効果を生みますが、状況に合わせて思考する力を身に着けるうえでは必ずしも有効な手段とは言えません。
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「ビジネス力」を鍛えるには・・

データサイエンティストのビジネス力を鍛える講座「データ活用人材育成プログラム~ケースで鍛えるビジネスへのデータ応用力~」を企画するにあたり、PBL(Project-Based Learning / Problem-Based Learning)の考え方を取り入れました。教科書から体系的に学ぶのではなく、課題解決を通じて経験的に学ぶ学習スタイルであるPBLは、データ活用人材のビジネス力を醸成するケースでも効果を発揮します。

本講座では架空のケースではなく、実際の事業者(富山の鮮魚店「奥田屋」さん)にデータと課題を提供いただき、ビジネス提案疑似体験をするプログラムを実施しています。
受講者は、奥田屋さんのデータ(を基に当社で作成した教育用データ)を分析します。その後、データから見えてきた課題解決への仮説と分析スコープを奥田屋さんと合意しながら、最終報告を目指すカリキュラムとなっています。本カリキュラムを通じ、例えばビジネス提案上の観点から利用できないデータを発見する観点など、ビジネスをベースとしたデータサイエンス力・データエンジニアリング力の活用観点を身につけます。

次回は、データサイエンティストのビジネス力を鍛える講座として企画した「データ活用人材育成プログラム~ケースで鍛えるビジネスへのデータ応用力~」の受講者にインタビューした模様をご紹介します。
どのような研修の感想や気づきを語ってくれるのでしょうか・・

次回につづく・・


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講座内ケースで登場いただく「事業者(富山の鮮魚店「奥田屋」さん)」の
看板商品ホタルイカ

関連情報

データ活用人材育成プログラム~ケースで鍛えるビジネスへのデータ応用力~ (UBU48L)

登場人物プロフィール ※2020年3月当時

○受講者:滋賀大学大学院データサイエンス研究科 修士課程1年 松井 宏司(まついこうじ)さん 
○事業者:富山奥田屋 5代目 奥田 哲也(おくだてつや)さん https://www.kobujime.jp/
○コース企画・講師:富士通ラーニングメディア講師 拝野 晃希(はいのこうき)

(2021/07/29)