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「即戦力」エンジニアをどう育てる? 新人研修最新トレンド


「即戦力」エンジニアをどう育てる? 新人研修最新トレンド

この記事は「@IT自分戦略研究所」に掲載されたものを再編集して掲載しています

2008年度 新人社員研修

近年の好景気の影響で、新卒採用数を増やしている企業は多い。「失われた10年」の「就職氷河期」に比べると喜ばしい状況だが、企業の新人育成担当者としては頭の痛い問題だ。採用数が増えたため、採用を抑制していたここ数年の新人研修プログラムでは対応できず、新たに企画をしなければいけないケースもあるだろう。また人事部門では対応しきれず、事業部門のエンジニアが育成担当に任命されるという話も聞く。

さらに慢性的にエンジニアが不足している開発現場からは、配属前に「即戦力」として育てるように要請され、経営層からは研修の費用対効果を厳しく追求される。入社人数が多ければ研修場所やPCの確保も頭の痛い問題だ。

このように難易度が高い新人エンジニア育成をいかに企画して実施したらよいか、昨今の新人エンジニア研修事情について富士通ラーニングメディアの研修事業部長 越野洋一氏と、研修事業部プロジェクト課長 三原乙恵氏に話を聞いた。

変化する「即戦力」の意味

研修事業部長 越野洋一

新人エンジニア研修というと、現場からは「即戦力となる人材がほしい」という声を聞くことがよくある。これまでの新人エンジニア研修の多くは、OS、言語などの一般的な技術知識を叩き込み、プロジェクトに投入されてもすぐに仕事ができる、文字通り「即戦力」となる人材育成が目的になっていた。

だが、最近になって新人研修における「即戦力」の意味が変化してきていると越野氏は話す。いまは単に1つの言語を知っていればいいというわけではなく、OSやネットワーク、データベースとの連携など幅広い知識が要求される。こうした広い領域の知識を短期間でつめこんでも、なかなか身につかない現状がある。広範囲な技術知識が必要になったために、技術的な観点での「即戦力」を育成することは新人エンジニア研修では難しくなっているのだ。

「いまの新人に求められている『即戦力』とは、技術的な観点よりも社会人としての振る舞いができ、早くプロジェクトの現場に溶け込め、自ら学んでいこうというモチベーションを高く保てることだ、という考え方が増えている」と越野氏は話す。

いま求められている「即戦力」育成のための研修内容として、「あいさつ、報・連・相の徹底など本当に基礎的なところから、新人エンジニアがプロジェクトに入ってまず行うであろう議事録などのドキュメント作成に備えてのビジネス文書の書き方やプレゼンテーションテクニックといった、ビジネススキル・ヒューマンスキル研修を盛り込む企業が増えています」と三原氏は説明してくれた。

早期にプロジェクトに溶け込むことができる新人エンジニアを育成すべく、同社が提供しているのが、プロジェクトを疑似体験させる研修プログラムだ。実際にチームメンバーを組み、プロジェクトを疑似体験することで、プロジェクト活動の基本要素を把握し、プロジェクトの流れ・最終目標の把握、そして自分がチームメンバーとして何をすべきなのかといった「自分で考える場面」を体験することができる。この体験によって、実際のプロジェクトに配属されたときに、プロジェクトリーダーの指示の意図や、自分がメンバーとしてどう動くべきか、といったことを考えながら業務を進めることができるようになるという。

効果を計るための工夫

新人研修での大きな課題の1つは、研修がどれだけ身に付いたかという「成果の証明」だ。事前に各部署と調整しながら、「ここまでは身に付けてほしい」基準を設け、研修の結果その基準に達したかどうかを証明する方法を決めておかなければ、研修が成功だったのか、費用に見合ったものだったのか、来年度も同じ研修内容でよいかなどの評価ができない。しかし、どこまでスキルが身に付いたかは可視化しにくく判断が難しい。資格を取得させるといった方法もあるが、資格試験の内容と現場で必要とされるスキルが乖離する場合もある。また暗記中心の試験勉強をし、資格は取得できたものの現場に配属されるころには忘れてしまっているという話も聞く。では、研修の成果を現場や経営者に対してどう証明したらよいのだろうか。

成績書(『個人カルテ』)サンプル

「当社では技術的な研修の場合、研修の最終的な報告書として『個人カルテ』のようなものを提供しています。研修では、新人エンジニアがそれぞれラリーという形でいくつもプログラムの演習をします。その中で、どこまでできたか、研修開始前と比べて、どのくらい成長できたかということをグラフや講師の所感を併せて報告しています」(三原氏)


配属されてからの方が効果的な教育もある

越野氏は、さまざまな企業の研修担当者と話をする中で、次のような相談をされるケースが増えてきたという。

「新人研修の間は1つのコンセプトの元で研修担当者が、それに合った研修を提供できるが、配属後、現場に出てしまうと現場の上長任せとなり研修担当者はかかわりにくい。研修担当者としては、配属後もしっかりと育成をしていきたいのだが、どうしたらよいか」

富士通ラーニングメディアではそうした声に対して、配属後の研修も提供しているという。

「技術的なフォローはステップアップ講座を提供しています。現場の方と相談をしながら、個々の新人に対して、配属された現場で必要な技術の講習を選んで受講していただける形を取っています」と越野氏は話す。

また、ビジネススキルでは「現場力育成!シリーズ」として、ビジネス文書の書き方やプレゼンテーション力、コミュニケーション力、社会人として必要なマインドについて、それぞれあらためて養うことができる講座を提供している。これらのテーマは配属前には実感が沸かないために教えても実になりにくく残らないこともあるが、配属されて仕事をして壁にぶちあたったときに行うと砂に水を撒くように吸収してもらえるという。

プロジェクト課長 三原

「特にマインドという面でいうと、現場に配属された新人が悩んで、モチベーションが低下してしまうことを研修担当者の方は懸念していると思います。そのために新人が集まる機会を設けている企業も多いのですが、下手をすると単なるガス抜きの機会となってしまい、さらには愚痴の共有でかえってモチベーション低下になってしまうこともあります。ディスカッションを通じて、互いに悩みを共有しながら『明日から自分はどういうふうに行動すればいいのか』というアクションプランを作るというコーチング的なアプローチも重要です」と三原氏は話す。


トレーニングが必要なのは新人だけではない

また、新人育成で重要なのはOJTトレーナーなどの先輩社員の存在だ。先輩社員次第でその後の新人の成長に大きな影響があるといっても過言ではない。

「新人がモチベーション高く配属されても、OJTトレーナーとその上司によって新人が育つか育たないかということが大きく左右されます。配属された部署によって新人の育ち方が全然違ってきてしまうというお客さまの声もあります。組織として新人をどう育てるのかという観点から対策を考えなければなりません」

同社では、従来のOJTトレーナー向けの研修に加え、OJTトレーナーの上司に向けた研修の提供も開始した。OJTトレーナーを含めて、配属先の部署に組織として新人を受け入れ、サポートするために準備をすることも非常に効果的だろう。

新人研修に大事なことは「コンセプト」

新人研修を考える際に最も重要なことは、「どういうコンセプトの元に新人研修を行うかを考えること」だと越野氏は話す。

富士通ラーニングメディアでは新人研修を「キャリア形成の土台作り」と位置付け、「技術面、ビジネスリテラシー、心構え」それぞれにおいて、基礎となる部分を徹底的にマスターさせるべく、研修カリキュラムを作成しているという。

「技術は1つ1つのテクノロジを点として理解するのではなく、それぞれを有機的につないで面でとらえる必要があります。コンピュータはどうやって動いて、プログラムって何なのか?そういった基礎的な部分について『なるほど、そういうことか』というふうに気付くことで、そこから先のスキルもすっと頭の中に入ってきます。将来現場で必要となる能力というのは、こうした基礎的な部分をしっかりと踏まえた先に身に付けられるものだと思います」(越野氏)

知識やスキルを積み重ねる土台部分をしっかり構築し、そこに「なるほど」といった小さな発見や理解が得られることで、勉強したことが身につけやすくなるという好循環を生む。これはビジネススキルやヒューマンスキルでも同じことがいえるだろう。

研修会社に依頼するという選択

ここまで、新人研修の重要なポイントやトレンドを挙げてきたが、こうした事柄のすみずみまで研修担当者が考え、企画立案をし、実際に研修を実施するところまで行うのは大きな負担だ。そこで教育のプロである研修会社に企画から実施までを依頼するのも1つの方法だろう。では、複数存在する研修会社の中で最適な研修会社を選択するポイントは何かを聞いた。

「新人研修を1つのサービスと見たときに、どこまでフォローしてもらえるかが重要だと思っています」と三原氏。

新人研修は数カ月間をかけて新入社員を教育していくが、複数の講師が研修に当たるという場合もある。そうしたときに講師間の連携や情報の共有など裏方の部分まで含めた、トータルでのサポートができるかどうかが重要だという。

「どの程度のサポートが期待できるかは、研修会社に対して、自社の新入社員数や研修の大まかな内容を話し、同様の新人研修の実績がどのくらいあるかを聞くことが1つです。研修ノウハウは、実績の積み重ねでレベルが高まっていきますから。経験値は重要な指標になります。さらにいろいろな角度から疑問や課題を質問してみて、その回答内容から比較検討するのがよいでしょう。当社はいままでに多くの企業様の新人研修を担当した経験があり、2007年度は約250社4900人の研修実績があり、その研修ノウハウの蓄積には自信があります」と越野氏は胸を張る。

新入社員が数十名規模の企業であれば、研修会社に委託するのもコスト的に許容されるだろうが、新人が数名規模の企業の場合にはあまりにコスト高にならないだろうか。同社の場合には、新人が少人数の企業様向けにオープンコースを用意している。複数企業の新人が同じ会場で研修を受けることによって、1社あたりの費用負担を軽減できるという。また、他社の新人と同じクラスで研修を受けることにより適度な緊張感や競争心など、交流による効果もあるという。

「三つ子の魂、百までも」は社会人にも当てはまる。企業にとって有益な人材となるかどうかは新人時代の育成にかかっているといっても過言ではない。新人研修を教育のプロである富士通ラーニングメディアに相談してみてはどうだろうか。

2008年度 新人社員研修